北海道の田舎で育つ/抜歯編

田舎育ちは珍しくないでしょう。
北海道と言えどもそれほど取り立てて述べるほどでは…。
でも、時代はまだTV普及以前。
日本中に個性的な暮らしがあり、言葉も服装も地域の特徴がありました。

そんな時代、あたりまえだと思っていた私の幼少のみぎり伝説、いってみようかな。


乳歯から永久歯にはえかわるころ、きっと言われたと思います。
「上の歯は縁の下に、下の歯は屋根の上に」の呪文のようなそれ、次に生える歯の健やかさのために。
これは抜けた歯の捨てどころ。
それを否定するものは何もない子供は皆、そうしたものでしょう。

自然、グラグラしてくる歯。
大問題なのに大人はみんな当たり前のことと取り合わない。
どうしてもいつまでも舌で触ってしまう。
そして幸運な時はひょいと抜ける。
でも…。
幸運にも恵まれず、かといって舌で押し切ることも、掴んで抜き取ることもできない歯があるんだよ。

そんな時、あなたはどうしたのですか?


私は3人兄妹の末っ子です。
2歳ずつ離れて兄がいます。
彼らはすでに永久歯にはえかわっています。
経験者なわけです。
そこに幸運に恵まれなかった歯をもついたいけな私。(わたくしと読んでください!)

長兄号令のもと、儀式は始まるのです。
木綿糸が幸運に恵まれなかった歯に結ばれます。
少しの長さをひいてその先に鉄瓶のふたが結ばれます。
次兄が私をはがいじめにします。
長兄は鉄瓶のふたを持ち、そこからが長い!
「いいか、落とすぞ!落とすぞ!離すからな!」

もうお分かりと思いますが私はギャオンギャオン泣き叫びます。
驚くほど簡単に抜け落ちてしまうその瞬間まで長兄の笑い声と阿鼻叫喚図は続くのでした。
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この話をすると「なんて野蛮な!」と大笑いされます。
誰も同じ経験をした人がいません。
大爆笑されるばかりです。
本当?
だ~れもこんなことしないで大人になったんでしょうか??
信じられない私です!













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