お雛人形と母のこと

ようようお雛人形にお出まし願いまして。
いつも旧暦でしか飾れないでいましたが、今年はちょっとましです。

段はありません。
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お内裏様とお雛様です。
お雛様のお顔がちょっと乾燥に負けております。
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歌に出てこない人たちもいます。
この3人はだ~れ?
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さすがに三人娘は華やかで。
五人囃子はそれなりに。
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このお雛人形はいただいたものです。
お道具も雛段も最初から満足にはありません。
なにせ、いただいたときすでに80年は経過しているのでした。

私に託してくれた方は九州出身の方で、ご自分が生まれたときに買ってもらったのだということでした。
長い長い歴史を一緒に経てきたお雛様です。
縁あって北海道に嫁して来られるまで、それ以後も転々とされた歴史がおありの方でした。
ここに形としてあることがすごいのだと思います。

私がいただいてすでに35年ほどになりますから、これまた長い。
思えば先ごろ北九州出身のかたと浅からぬご縁があり、そこに暮らそうという話があったのもお雛様のお力?
帰ろうとしたのかしら?な~んて思わず微笑んでしまいます。





私自身の雛人形といえば。

母は私にお雛人形を創ってくれました。
毎年、布や紙、木の実などで創り、ざるを編んでその中に納めたりしてくれました。
私が創ったと思い込んでしまうに十分な楽しい時間です。
だから、雛人形は創るものだと思って大きくなりました。
立派な段飾りのお雛様を初めて知ったのはいつ頃であったか、記憶にありません。
母と創ったお雛様が私のそれであり、段飾りのお雛人形は遠い国の話と一緒で羨むこともありませんでした。

素敵な時間の積み重ね。
死が間近に迫ったある夕方、17歳にもなっていた大きな私は母の両の腕に抱かれて1時間ほど眠りました。
その1時間にありったけの思いを込めて甘えて眠り、娘としてのさよならをしました。

15歳で看病し17歳でみおくった私に、母はもう十分愛を渡してくれていたのでした。


















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